矯正治療
「歯並びが気になる方へ」当院の矯正治療
当院ではお子さんから大人の方まで、年齢を問わず矯正治療を行っています。歯並びが気になる方はお気軽にご相談ください。
【当院で中心的な矯正装置】3Dリンガルアーチシステム
固定式の「3Dリンガルアーチ」は、舌側矯正なので表から見えづらいのが特徴です。当院でもお勧めしています。
3Dリンガルアーチは、左右の第一大臼歯に装着したバンドと、それを連結するように歯の裏側に沿ったアーチ型のワイヤーで構成しています。大臼歯にセメントで固定しますので取り外せません。食事も歯磨きもこのまま行います。
装着してすぐは違和感がありますが、2~3日すれば慣れます。一般的には取り外しできる装置よりも快適に治療を受けていただけると思います。取り外しできないのでむし歯のリスクがありますので、しっかり歯磨きをする必要があります。
3Dリンガルアーチの症例1
<治療前>
上顎は前歯2本前へ出ていて、下顎は1本内側にずれています。
<治療後>
拡大床と3Dシステムだけでかなり揃いました。
【治療期間】約2年
【費用】20~30万円
【リスク・副作用】むし歯、歯肉炎、口内炎、一部発音が不自由、粘着性食物の制限など
3Dリンガルアーチの症例2
<治療前>
下顎は乳歯4本抜けて永久歯2本ほどのスペースしかありません。
<治療後>
拡大床と3Dシステムだけでかなり揃いました。
【治療期間】約2年
【費用】期間で20~30万円
【リスク・副作用】むし歯、歯肉炎、口内炎、一部発音が不自由、粘着性食物の制限など
上記の例は3Dリンガルアーチシステムの有用性を示したものですが、しっかり並べるには表側のワイヤー矯正も必要です。
【主な矯正装置等】
患者さんの年齢や歯列の状況に応じた、さまざまな装置をご用意しています。
●3Dクワドヘリックス
狭い上顎の歯列弓(アーチ)を広げるために使用する装置です。咬みあわせのズレを正したり、歯が生えるスペースを獲得します。
●咬合斜面板(ジャンピングプレート)
下顎が後ろに下がっている上顎前突などの不正咬合で、下顎の位置を前方に誘導する目的で用います。
●ファンタイプ拡大床
取り外しできる装置でネジを回すと左右のプラスチックが広がり、顎の幅が拡大します。前方の歯は横に拡大しますが前へ出ることはありません。
●Tip-Edgeブラケット
従来のワイヤー矯正より弱い力で歯を動かせます。そのため、痛みを抑えられます。
●Tip-Edgeブラケット(ホワイト)
白いセラミックブラケットを利用した場合です。
●LBB アプライアンス
単独で使うのではなくマルチブラケットなどと使います。
●タングガード(Tongue guard)
開咬の治療に使う装置です。開咬は舌癖が原因なので舌をガードします。
●パタカラユーミー
口腔周囲、顔面、頸部の筋肉のトレーニングに役立ちます。口呼吸治療が目的ですが顔面の弛みもなくなります。
●ムーシールド
ムーシールドは主に乳歯列期の反対咬合に使用する矯正装置です。就寝時に使用します。
●エッジワイズ装置
歯並び噛み合わせを治す装置です。ブラケットは金属製、白いプラスチック製があります。
●切歯斜面板
前歯部に仮歯のような装置を装着し、上顎の前歯が前方に傾斜するように調整します。歯性の1~2歯の反対咬合に有効です。
●乳歯冠クラウンループ
むし歯などで乳歯がなくなったとき、奥歯が前に移動しないように、冠とつっかえ棒を組み合わせたクラウン(バンド)ループを装着します。歯列不正予防に使用します。
矯正を専門とする医院と一般歯科医院 ~矯正治療を行う場合の違い
矯正治療は矯正を専門とする歯科医院で行う方が良いと思われがちですが、一般の歯科医院で行うメリットもあります。
メリットとデメリット
●矯正を専門とする歯科医院のメリット
- どんな歯列不正にも対応できる
- 困難な歯列不正も対応できる
- 矯正用のレントゲンや診断システムなどが整っている
デメリット
- 簡単なむし歯や抜歯でも一般的な歯科を別に受診しなければならない
- 都市部以外の場合、遠方まで通う必要もある
- 矯正終了後は足が遠のき、管理が行き届かない場合がある
●一般的な歯科医院で行う場合のメリット
- かかりつけの歯科であれば、矯正もむし歯治療等も一緒にできる
- 近くにあれば受診しやすい
- 成人で矯正後すぐ補綴するような場合には有利である
デメリット
- 治療可能な歯列不正はおおむね制限がある
- 矯正用のレントゲンがない場合がある
- 矯正が困難な場合は専門の歯科医院を受診するよう促される場合がある
矯正に対する当院の姿勢
日本矯正歯科学会の資格は、私のように開業してから勉強してきた者には、仕組みとして取得が難しいです。しかし、一般臨床医矯正研究会や、TIP-EDGE矯正研究会を通して研鑽を積んでいます。
床矯正も、ワイヤーの矯正も、機能的装置も、マウスピースを利用する場合も勉強しました。床矯正だけ、マウスピース型だけという専門よりも幅は広いです。
矯正を担当する歯科医院とどちらが良いかと聞かれたら、当然当院より「矯正を専門とする歯科医院」と答えます。しかし、資格を持っていない矯正の歯科医院に引けを取らないと考えておりますし、非常勤で限られた曜日に矯正担当の歯科医師が来ている医院と比べたら、当院の方が利用しやすいと答えています。
小児は非抜歯を中心に据えています
矯正には流派のようなものがあり、それぞれその<派>の利点があります。当院はWilsonのモジュール矯正、小児非抜歯の方法を採用しています。モジュール矯正の3Dシステムは舌側から歯のコントロールの取り扱いに特徴があります。
当院では、何でも非抜歯ではなく、「非抜歯を中心に据える」方針です。固有口腔を狭くしないように抜歯や側面を少し削る場合はあります。永久歯列(中学生~成人)で開始する場合は抜歯が増えます。
小児矯正について
小児の場合はその時期に適切な方法ができなくなると、最初に非抜歯と言っていたとしても、抜歯にせざるを得なくなります。また、本人は歯並びがきれいになった自覚が乏しいことがあります。面倒臭いものを長い間つけていただけという実感です。
そのため保定を怠ってしまう場合がよくあります。動的治療終了時に最初の模型を見せて保定の大切さを伝えますが、サボる子は必ずいます。保定をサボって歯が乱れた場合、それはご本人の責任です。
途中で辞めたくなる子もいます。お子さんより親が「このくらいでいい」と思ってしまうこともあるようです。ご希望には応じますが、中途半端な終わり方のため先々乱れても責任は持てないことをご了承ください。
実は、私も成人矯正を経験しました
私自身歯列不正があり、歯列矯正の敷居が跨ぎやすくなるよう患者さんに提供したいと考えてきました。平成2年の開業時はまだ矯正の知識が乏しかったものの、矯正用のレントゲン(セファロレントゲン)まで設備投資しました。
自身の治療ができたのは、42歳を過ぎた頃からです。矯正治療を預かる患者が増えて「自分が歯列不正のままではまずい」と思い直したのです。ブラケットを付けた1年半は貴重な体験でした。
歯科一般を担当するからこそ、対処できることがあります
矯正中に顎関節症になったり、矯正後に不定愁訴が出る患者さんがいるようです。その場合は、矯正を専門とする歯科医院よりも幅広く勉強している当院の方が対処できる場合があると考えています。
「舌側傾斜をした仕上がり」「喉ちんこが見えない開口」「舌圧痕ができてしまう固有口腔の大きさ」など、それらは問題があることもあるのです。
私が習った先生はもちろん矯正を専門とする医師ですが、そういうことに目を向ける姿勢の歯科医師でした。出会えて良かったと思っています。
矯正治療を進めるにあたっての注意
最初に説明するときの期間は、治療に適切な時期にきちんと受診を続けてきた場合です。
キャンセルが多かったり、来院時期が延び延びになれば、終了の期間も伸びます。例えば2年と説明したとしても3回に1回はキャンセルばかりであれば、単純に3年に伸びます。
小児の場合はその時期に適切な方法ができなくなると、最初に非抜歯と言っていたとしても、抜歯せざるを得なくなります。
中学生くらいになると、テストで来られない、部活で来られない、ということは多々あります。テストはともかく、重要な試合や行事の直前でなければ、部活を休むくらいの配慮は顧問の先生にお願いしたいところです。
全体を矯正治療する場合の流れ
【STEP1】初診相談
初診の際に疑問や質問にお答えするとともに、治療法や費用についてご説明します。お答えした内容と概要をよくご検討の上、開始するかどうかお決めください。
【STEP2】検査
噛み合わせや骨の中の様子、骨格のズレを調べて分析を行います。
【STEP3】診断
検査の内容を踏まえて、現在の状態や治療方法、治療期間をご説明します。治療計画書をお渡しします。
【STEP4】矯正治療開始
装置を入れる際に続けて来院していただく時期はありますが、歯の移動開始後はおおむね4週ごとになります。
治療期間は乳歯が残っている小学生からなど成長を見ながらは5年以上の場合はよくあります。永久歯列である中学生以降~大人が開始した場合は2~3年です。
※期間が短い永久歯列が優れるわけではありません。詳しくは歯科矯正Q&Aを参照。
【STEP5】保定、アフターケアー
通常、矯正装置が外れた後に、歯並びの安定を計るための保定期間を設けています。10代で終了した場合は成人頃まで、大人の場合は10年以上とお考えください。保定開始直後以外は年1回程度の来院で可です。
よくない歯並び(歯列不正)の種類は?
叢生(そうせい) | 歯が真っ直ぐ並んでおらず入り組んで生えている状態。乱杭歯 |
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犬歯唇側転位 | いわゆる八重歯。乱杭歯で特に犬歯(糸切り歯)が外側にはみ出て生えている |
下顎前突(反対咬合) | 受け口。噛み合わせが上下逆になっていて、特におとがいや下顎全体が前方に出ている状態。下顎が基準より出ている場合と、上顎が基準より引っ込んでいて相対的に下顎が出ているように見える場合がある。またその混合もある。 顎の位置はほぼ正常で歯の傾きの異常のみで受け口になっている場合でも下顎前突ということもあるが、顎そのものが出ていない場合は下顎前突といわない方が良い。歯のみの反対咬合とした方が良いが混同して使用される。 |
上顎前突 | 出っ歯。正常より上の歯が前方に出ている。上の歯が出ている場合だけでなく、下顎が引っ込んでいることで上顎前突に見える場合もある |
過蓋咬合 | 前後的ではなく上下的な異常。噛み合わせが深くて上の前歯に下の前歯が隠れてしまう状態。上顎前突と合わせて起きる場合がよくある。反対咬合で過蓋咬合もある |
交叉咬合 | 左右的に噛み合わせがずれている |
開咬 | 奥歯で噛み合わせても前歯が噛み合わない。下顎前突と合わせて起きる場合がある |
空隙歯列 | 隙間がある歯並び。特に真ん中の場合「正中離開」 |
歯の傾斜 | 前方に傾斜している場合は前突ともいう。側方に傾斜したり舌側(内側)に傾斜する場合がある |
歯の捻転 | 歯の軸に対して捻れている |
歯の転位 | 本来の位置でない場所にずれて生えている |
歯の挺出 | 本来の噛む面より出っ張っている |
低位咬合 | 本来の上下的噛み合わせの高さより低くなっている |
歯の埋伏 | 本来生えてくるべき歯が生えてこない |
歯列不正の原因
乳歯の問題
乳歯のむし歯 | 歯と歯の間のむし歯を放置すると、奥歯は前方に移動する性質があるため、永久歯が生える場所が減ってしまい、叢生や歯の傾斜が起きる。歯の根の先で慢性的に膿んでいると、永久歯がそこを避けてずれて生える場合もある |
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乳歯の根吸収不全 | 乳歯の根が正常に吸収しないことで永久歯がずれて生える場合がある |
乳歯の早期脱落 | 本来の次期より早く抜けてしまい、奥歯がその場所に移動してしまう場合がある |
習癖
指しゃぶり | 上顎前突、開咬 |
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舌突出癖 | 開咬、上顎前突、下顎前突 |
上唇を噛む | 反対咬合 |
下唇を噛む | 上顎前突、開咬 |
うつ伏せ寝 | 交叉咬合、叢生、過蓋咬合、上顎前突 |
睡眠時に下顎を出す癖 | 反対咬合、上の前歯の下側傾斜 |
頬杖 | 交叉咬合、歯の傾斜 |
口腔周囲筋肉などの問題
唇、舌の力が弱い、口を開いている | 叢生 |
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舌の力が弱い | 大臼歯の内側への傾斜 |
頬の力が弱い | 大臼歯の外側への傾斜 |
低位舌 | 下顎前突 |
巨大舌 | 開咬 |
上唇小帯付着異常 | 正中離開 |
舌小帯が短い(一般的に問題ないとしても実際は短くて緊張がある場合が多い) | 叢生 |
異常な歯・遺伝的問題
過剰歯 | 歯の埋伏や転位、捻転を起こす。正中過剰歯が多い |
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歯の埋伏 | 永久歯はあるのに生えてこない場合がある。犬歯や第二小臼歯に多い |
違所萌出 | 歯の転位、叢生 |
濾胞性歯囊胞 | 歯の埋伏を起こす。 |
癒合歯 | 2本の歯がくっつく、1本半などの幅でできてしまうと歯列の空隙を作る場合がある |
部分的無歯症 | 先天的歯牙欠損、先欠。本来の歯がない。空隙歯列や歯の傾斜を起こす |
親知らず | 生えてくるときに前方の歯を押して、開咬や叢生を起こす場合がある |
顎に対して歯が大きい | 叢生、上顎前突 |
上顎の劣成長 | 空隙歯列、交叉咬合 |
上顎の劣成長 | 反対咬合 |
上顎の過成長 | 上顎前突 |
下顎の劣成長・後退 | 上顎前突 |
下顎の過成長・前方移動 | 下顎前突 |
下顎の側方へずれ | 交叉咬合 |
その他
歯周病 | 叢生、歯の挺出、歯の傾斜(歯が欠損しなくても起きる) |
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むし歯、歯周病による歯の欠損 | 放置すると、隣接歯の傾斜、相対する歯の挺出を起こす |
横向き寝、うつ伏せ寝 | 歯の舌側傾斜、叢生、交叉咬合 |