金属アレルギーについて-あま市の歯科・歯医者なら「はせがわ歯科医院」

なるべく削らない治療。あま市の歯科・歯医者なら、はせがわ歯科医院へ。

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金属アレルギーについて

金属の問題を知る前に

金属は歯科治療に欠かせない材料です。無闇に弊害を煽るつもりはありません。ただ、一部の方にはっきり害があるのは事実です。ここには、当院でできない分野(パッチテストなど)も記載しています。医学的に詳細を調べたい場合は大学病院などをお勧めします。

アレルギーとは

アレルギー(独Allergie)とは、外来の異物(抗原)を排除するために働くべき免疫反応が、特定の抗原に対して過剰に起こることです。I型からV型まであり、I型はよく知られる花粉症や食物アレルギー、蕁麻疹、気管支喘息、アトピー、アナフィラキシーなどを含みます。

金属アレルギーはIV型で発症まで1~2日かかる遅延型、細胞性免疫型アレルギーです。アレルギーはタンパク質に対して起きて、金属そのものには起きません。金属イオンで変性した身体のタンパクが抗原です。身体に必要なミネラルである金属でもアレルギーになる場合があります。

金属アレルギーが原因かもしれない疾患の種類

接触皮膚炎、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、皮膚掻痒症、舌炎、口内炎、口唇炎、クインケ浮腫、口腔扁平苔癬など

金属アレルギーの人の割合

大学口腔金属アレルギー外来受診者の50%が金属に感作(敏感な状態になること)していたそうです。(※歯科で使う金属以外も含む)

13の大学病院の調査では全く症状がない人も含めて10%の人に感作が認められた報告があります。感作していても症状が出るとは限りません。また、いつ感作するかは分かりません。

金属アレルギーの原因金属

歯科で使う金属はおおむね20種類以上あります。アマルガムの水銀での感作はやや多いようです。金、プラチナ、チタンはアレルギーになりにくいですがゼロではありません。銅、銀、アルミはアレルギーとしては稀なようです。

歯科金属に含まれる元素の種類(非金属含む)

金、銀、銅、パラジウム、亜鉛、錫、インジウム、コバルト、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、白金、モリブデン、ニオブ、アルミニウム、カルシウム、鉄、ガリウム、ゲルマニウム、水銀、イリジウム、レニウム、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、タンタル、タリウム、バナジウム、タングステン、、セリウム、ケイ素、炭素
※微量のものも含む

元素は歯科用セメントやセラミックスにもアルミニウムや鉄が入っています。強固な化合物として入っているので金属が含まれているとみなさなくて良いと考えます。

口の中だけではない原因金属

ネックレス、指輪、ピアス、イヤリング、ブレスレット、時計、眼鏡フレーム、硬貨、ベルト、プラジャーのワイヤー・留め具、バックル、ボタン、ビューラー、ヘアピン、カーラー、ホック、ファスナー、鍋・やかん、フォーク・スプーン・ナイフ、缶飲料、工具、文房具・筆記用具、皮革製品、化粧品、化粧品容器、食器の模様、浄水器、土壌、セメント(コンクリートの)、洗剤、入れ墨、インク、写真現像液、ブリーチ剤、シェービングクリーム、防錆剤、塗料、顔料、口紅、クレヨン、粘土、楽器など

アレルギーになりやすい生活条件とは

短時間睡眠、口呼吸、冷飲食過多、早すぎる離乳などは免疫力を低下させアレルギーになりやすいといえます。

アレルギーではない金属の悪影響

ガルバニー電流

イオン化傾向の差で、異種金属の間に微量の電流が流れる場合があります。敏感な人はアルミを噛んだ感じがする場合があります。

電磁波の影響

現代の電波だらけの環境は、金属は電気を集める可能性があります。チタンは生体に親和性がありますが、電磁波はむしろアンテナになりやすい性質を持ちます。まだ不明な点が多く一概にいえませんが、経験則から電磁波の影響を疑う例もあります。起立した状態で後方から携帯電話を近づけると、本人が無意識に身体を傾ける現象が起きるケースがあります。このような方は影響を受けやすいといえます。

金属アレルギーの検査方法(※当院ではできません)

パッチテスト

背中に48時間貼付して金属感作を調べます。入浴できないので夏は不向きです。遅れて現れる場合があるので除去後さらに1週間観察すると良いそうです。疑わしい場合は繰り返し行います。パッチテスト用の金属は微量で感作しにくいですが、テスト用の金属で感作してしまうことがあるそうです。

歯科用金属溶出傾向測定装置(モリタDMAメーター)

口腔内で溶け出している可能性がある修復物を調べます。スクリーニングに使えます。

X線マイクロアナライザー

詰めてある金属を削って分析をかけます。使用している金属の種類が分かります。

金属アレルギーへの対策は金属の除去

パッチテストの結果アレルギーありの判定が出た金属が口腔内にある場合は除去します。たくさん金属があっても1つの冠だけが原因である場合があります。口腔内にない場合は身の回りの金属を考えます。

修復物が少量の場合は、検査を省いて除去する手もあります(当院では全部除去しています)。表面の金属だけでなく、土台の金属も必要なら除去します。隠れていても溶出する場合があるからです。根管充填剤などの金属でない材料でも、金属を含む場合は除去する必要があります。

外したら半年ほどは仮歯で様子見をした方が良いこともあります。小さい詰め物は仮歯ではなくすぐ最終的な硬質レジンで修復できます。仮歯のレジンや修復物の硬質レジンにもアレルギーがないことが必要です。

金属除去後の治療方法とは

  • アマルガム、インレー → 硬質レジンの充填やインレー、ハイブリッドインレー、セラミックインレー
  • メタルコア → レジンコア、ファイバーポストレジンコア、ハイブリッドコア
  • クラウン → 硬質レジンジャケット冠、ハイブリッドジャケット冠、オールセラミックス冠、ジルコニア冠
  • ブリッジ → グラスファイバー強化ハイブリッド(力が余りかからない場合)、ジルコニア
  • チタン系インプラント → ジルコニアのインプラントか金属のない可撤性義歯(入れ歯)
  • 可撤性義歯(入れ歯)の鈎やバー → アセタル樹脂の留め具やノンクラスプデンチャー

代替物に変更するときの問題

金属の除去が終わり、代替物での修復を行うときにもさまざまな注意点があります。以下の項目に留意して進める必要があります。

一般的な治療の場合の問題点

  • レジンで代替できないケースは、保険外診療になる場合がある
  • 大きなインレーは削り広げて冠にしないといけない場合がある
  • 歯と歯の間に金属がある場合、レジンやハイブリッドにすると強度的な問題で、あえて削って広げる場合がある
  • メタルコアが入っていると、撤去すると歯質が薄く弱くなり抜歯に至る場合がある
  • レジンにアレルギーがあるとセラミックかジルコニアしか選択肢がない
  • レジンセメントにアレルギーがあるとレジンセメントが必要なセラミック系が使用できない
  • レジン、ハイブリッド、セラミック(形態によって)は強度的に金属より弱くなる
  • 亜鉛にアレルギーがあると根管治療もやり直す必要がある

インプラントの場合の問題点

  • インプラント体にアレルギーがあるとインプラントの撤去はとても難しく、病院の口腔外科でないとできないかもしれませんし、周りの歯槽骨を大きく失う場合があります。

矯正治療の場合の問題点

  • ワイヤーはニッケルチタンを多く使っており、ニッケルだけのアレルギーであればステンレススチールのワイヤーを曲げて使える
  • ステンレススチールはクロムが入っており、クロムにアレルギーがあると使えない
  • ニッケルにアレルギーがあるとクロムにもアレルギーが起きる場合がある
  • 使用材料は細かいものがあり、アレルギーの心配なく矯正をするのは困難
  • QCMという矯正システムの場合、金属を使用せず対応が可能
  • マウスピース型の矯正は金属なしでできるが、一定の制限がある
  • 歯列矯正は2~3年なので、アレルギーが軽度であればその期間のみ我慢できると思う

以下の方も、一度ご相談ください

金属アレルギーという言葉に過敏になっている人

情報過多から、金属を全部撤去したい方が時々います。限られた金属にアレルギーがあるとすれば、本来全部除去する必要はありません。金属が多い場合は、望む結果が得られるとは限らないことを踏まえて考える必要があります。

金属アレルギーではないが化学物質過敏症

アレルギーではないが、除去後の症状の経験則から疑いがあります。

歯科金属に敏感なのに周囲の金属に鈍感な方

金属アレルギーが心配と言いながら、指輪など装飾品に無頓着な方はいます。口の中だけ悪者にせず理性的な判断を求めます。

実は身体のどこかの慢性病変からきている可能性

口腔周囲では、根尖病巣、慢性の歯周病、扁桃炎、慢性鼻炎などが挙げられます。慢性病巣があると離れた場所にアレルギーのような皮膚炎が起きる場合があります。口の中では、根管治療や抜歯で離れた場所の皮膚炎が消失する場合があります(病巣感染)。

皮膚科などから歯科の材料のサンプル提供を依頼された場合

皮膚科医は歯科のことが分からないので、口の中に使用する材料の提供を単純に患者さんに指示する場合があるかもしれません。

口の中に使用するとしても、滞在しないもの(印象材、エッチング液など)は継続して出ている症状の原因ではないと考えられます(使用後数時間~数日して消退はありうる)。また、原材料を渡す必要はありません。硬化して口の中に滞在するものはサンプルにすれば良いです。

O(オー)リングテストで調べてほしい

単純に持って指が開いたから合わないという判断は間違いの元です。共鳴を排除しなければならないし、先入観など他の要因に影響される場合もあります。特定条件の下で行う必要があります。的確なOリングで合わないと出た場合もアレルギーとは限りません。Oリングで合う材料にすれば気になる症状が治るとは限りません。Oリングは有効な方法ですが、誤認もあるので慎重な取り扱いが必要です。他のキネシオロジーでも同じです。